ファクタリングの「売り物」になるのが売掛金(売掛債権)です。
ただし、どんな売掛金でも買い取ってもらえるわけではありません。この記事では売掛金の基本から、「売れる売掛金・売れない売掛金」の条件までを整理します。
この記事でわかること
- 売掛金(売掛債権)とは何か。なぜ「売上はあるのにお金がない」が起きるのか
- ファクタリングで買い取ってもらえる売掛金の3条件
- 買取を断られる売掛金の典型例と、買取額の目安
売掛金とファクタリングの関係
売掛金とは「あとで受け取れるお金」
企業間の取引では、商品やサービスを納品するたびに現金精算はせず、「月末締め・翌月末払い」のようにまとめて後払いするのが一般的です(掛取引)。
この「納品は済んだが、まだ受け取っていない代金」が売掛金で、それを受け取る法的な権利を売掛債権と呼びます。
入金までの空白期間をタイムラインで見る
「黒字なのに倒産」は売掛金のせいで起きる
帳簿上は黒字でも、売掛金の入金前に給料や仕入代金の支払日が来れば、会社は現金不足で止まります。これがいわゆる黒字倒産の典型パターンです。
ファクタリングは、この「売掛金と支払いのタイミングのずれ」を埋めるための道具です。仕組みの全体像はファクタリングとは?の解説で図解しています。
売却できる売掛金・できない売掛金
買い取ってもらえる3つの条件
| 条件 | 意味 |
|---|---|
| 確定債権であること | 納品・検収が済み、金額と支払日が確定している(請求書がある) |
| 支払期日前であること | まだ入金日が来ていない売掛金が対象 |
| 実在が証明できること | 請求書・契約書・過去の入金履歴などで取引の実在を示せる |
この3つを満たす売掛金なら、法人・個人事業主を問わず買取対象になります(個人事業主の利用方法はこちら)。
断られる売掛金の典型例
- 支払期日を過ぎた売掛金(不良債権) — 回収業務は債権回収会社の領分で、ファクタリングでは扱えない
- 個人消費者への債権 — 対象は企業間取引の売掛金が基本
- まだ確定していない将来の売上 — 見込みや継続契約の未発生分は原則不可(対応する会社も一部ある)
- 二重譲渡された売掛金 — 同じ売掛金を複数社に売るのは契約違反であり、詐欺罪に問われ得る犯罪行為
いくらで売れる?買取額の考え方
手数料率は売掛先の信用力・金額・支払期日までの日数で決まります。大手企業や官公庁への売掛金は貸し倒れリスクが低いため、手数料も安くなる傾向があります。
また、買取可能額の上限・下限は会社ごとに異なります。少額なら個人事業主向けのオンライン型、高額なら法人向けの大手、と使い分けましょう。
手形・でんさいとの違い
「期日前に現金化できる債権」には、売掛金のほかに約束手形や電子記録債権(でんさい)もあります。
| 売掛金×ファクタリング | 手形×手形割引 | でんさい×割引 | |
|---|---|---|---|
| 現金化の手段 | 売掛債権の売買 | 銀行等での割引(融資扱い) | 記録機関経由の割引 |
| 不渡り時の弁済義務 | ノンリコースならなし | あり(買戻し義務) | あり |
| 信用情報・与信枠 | 影響しない | 銀行与信の一部 | 銀行与信の一部 |
手形取引が減りでんさいへの移行が進むなか、紙の請求書ベースの売掛金を現金化できるファクタリングは、中小企業にとって使い勝手のよい選択肢になっています。
よくある質問
Q. 売掛金の一部だけを売ることはできますか?
A. できます。300万円の売掛金のうち100万円分だけ売却する、といった利用は一般的です。必要額だけ売れば手数料も最小限で済みます。
Q. 売掛先が倒産しそうな売掛金でも売れますか?
A. 難しいです。審査の中心は売掛先の信用力なので、倒産の懸念が明らかな売掛金は断られるか、高い手数料を提示されます。リスクに備えたいなら、倒産前に保証型ファクタリング(売掛保証)を検討する方が現実的です。
Q. 請求書がまだ発行前でも売れますか?
A. 原則は請求書発行後の確定債権が対象です。ただし注文書(発注書)段階で買い取る「注文書ファクタリング」を扱う会社も一部あります。対応可否は会社ごとに確認してください。
売掛金は「眠っている資産」
この記事の要点
- 売掛金は「あとで受け取れるお金」。入金までの空白期間が資金繰りを圧迫する
- 売れるのは「確定・期日前・実在証明あり」の3条件を満たす売掛金
- 不良債権・個人向け債権・二重譲渡はNG。手数料は売掛先の信用力で決まる
手元の請求書は、入金日まで眠っている資産です。急な資金需要のときに「これを売れるか」という視点を持っておくと、資金繰りの選択肢がひとつ増えます。

